AIカーの事故は誰の責任になるのか?
現在、自動車事故を起こした場合、原則として事故を起こした本人、すなわち、事故を起こした時点でハンドルを握っていた人の過失が問われる。
もちろん、車自体に構造的な欠陥があり、仮に誰が運転していたとしても、事故が起きてしまうような状況であれば、自動車メーカーの製造責任が問われることもあるであろう。あるいは、極端な例であれば、被害者側に事故の責任が問われる場合もあるかもしれない。
しかし、原則的にはドライバーに事故の責任があると考えられるのが普通だろう。
では、ドライバーがいない場合、すなわち、自動運転をしているAIカーにおいては、事故の責任の所在は、どうなるのだろう。この点は、今後の法整備を待つしかないが、個人的には以下のように考える。
まず、原則として、AIカーの所有者が責任を問われることになろう。AIカーの整備が十分でなかったため、事故を起こしたと考えられるからだ。
仮に、整備が十分であり、たまたま、その時にAIカーを利用していた人が無理な利用をAIカーに強いたとすれば(例えば、制限時速を超える運転をAIカーに強制したような場合)、利用者に事故責任が生じる場合もあるであろう。
また、通常の自動車と同様、自動車そのものに欠陥があり、事故を引き起こした場合は、自動車メーカーの責任が問われる場合もあるだろう。もちろん、通常の自動車でも被害者側の過失が問われるケースも稀にだがあるかもしれない。
以上、多用なケースを想定したが、AIカーにおける事故の責任はAIカーの所有者(オーナー)が負うことになるのが原則となるだろう。
すなわち、AIカーが自家用車として登録されれば所有者個人が、社用車であれば法人が、タクシーであればタクシー会社が、バスであればバス会社が、責任を問われることになるだろう。
この点については、深い議論が必要であり、海外の事例等も含め、研究が必要となろう。
(参考)
スタンフォード大学はグーグルと共に自動運転車の実証研究に積極的であるが、それだけではない。驚いたことに、スタンフォード・ロー・スクールには自動運転における法制度の専門家が3名もいる。ちゃんと、押さえるべきツボを押さえている。