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自動運転はAIタクシーでスタートすべき(3)

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 自動運転の商用利用をAIタクシーで開始すべき第三の理由は、バージョン・アップの容易さだ。そして、これは自動車メーカーの視点において最悪の事態であるリコールを回避するための策でもある。

 

 自動運転のポイントは、人口頭脳による運転の制御にある。そして、人口頭脳において、ソフトのバージョン・アップは欠かせない。

 もちろん、自動運転車を販売しても対応は可能だ。ソフトのバージョンが上がった場合には、新しいソフトを自動運転車の購入者がダウンロードすれば良いからだ。しかし、これをキチンとやってくれるか、心配だ。特に、自動運転車の場合、無線ネットワークを通じてクラッカーが侵入する可能性もある。

 ソフトの古いバージョンを使用して事故を起こした場合、当然、バージョン・アップを怠った自動運転車の購入者の責任が問われることになるだろう。しかし、判例もないうちに、自動車メーカー側の無過失を推定してビジネスを展開するのは、リスクがある。

 その点、AIタクシーという形式で、ソフトの入れ替えを自由にできる環境であれば、バージョン・アップは容易だ。

 ITの世界において、クラウド・サービスではサービス提供側の判断でソフトのバージョン・アップが次々になされる。おなじソフトでも、ウィンドウズOSはメンテナンス期間を過ぎても古いバージョンのまま使用されていて、セキュリティに問題が生じている。

 自動運転のソフトは、クラウド・サービスにおいて常に最新のバージョンのみが使用されているのと同じ状態にすべきであると考える。

 

 販売ではなく、AIタクシーという形式でサービスを提供していれば、万が一、ソフトやハードとソフトの連携部分等に不具合が見つかっても、リコールではなく、自分たちの車庫にあるAIタクシーを修理すれば良い。

 リコールにかかる費用やレピュテーション・リスクを考えれば、自動運転の商用利用の初期段階においては、自動車の販売形式ではなく、役務の提供形式が望ましいと考える。

 

 以上が自動運転の商用利用をAIタクシーで開始すべき3つの理由である。もちろん、自動運転車の販売を否定するつもりはない。自動運転車を購入したいというニーズもあるだろう。

 しかし、自動運転の商用利用をAIタクシーで開始することが、自動運転が広く受け入れられることにつながると考えている。