【自動運転】リスク・ゼロを追い求めない---ルンバが日本で誕生しなかった理由
自動掃除機のルンバのメーカーは、地雷除去などを手掛ける軍事関連会社だ。地雷除去の技術等を活用した技術だが、自動掃除機レベルであれば、日本の家電メーカーも十分、作ることが可能だった。
だけど、ルンバは日本では誕生しなかった。なぜか。それは仮に技術的には可能での製品化を社内で検討した際、「もし仏壇のロウソクを倒して火事になった場合、責任が取れない」との判断があったからだ。
必要以上にリスク・ゼロを追究すべきではない。ロウソクをつけたまま、自動掃除機を動かしたとしたら、動かした方に過失があるのではないだろうか。製造物責任法(PL法)で問われるのは、製造物の欠陥により損害が生じた場合の損害賠償責任である。運用に問題があった場合、責任を問われるのは運用者ではないだろうか。
自動運転でも、リスク・ゼロを追い求めすぎないことが肝心だ。飛行機が飛び始めたころ、隕石がぶつかることが懸念された。しかし、その確率は、59,000年から77,000年に1回だそうだ。
リスクはゼロにはならない。許容できるリスクかどうかを冷静に判断できる能力が一人一人に求められる。