japan2020 人工知能と日本再考→再興

不易流行---変わらない真理と変わるトレンド

AIはタイムマシン---グーグルのアルファ碁とイセドル九段との対局を見て感じたこと

 グーグルの子会社が開発したアルファ碁が超一流プロを破った。こんなに早く囲碁で人間がコンピュータに負ける日が来るとは思わなかった。

 本日、第四局が終了し、イセドル九段が三連敗の後、一矢を報いた。一勝を挙げたことで少しホッとしている。 

 アルファ碁は人工知能、つまりAIだ。囲碁の世界では約10年前から使われているモンテカルロ木探索を使用している。囲碁の場合、局面の評価が難しい。つまり、どの手が良い手なのか、見極めがつきにくいということだ。

 その評価のために考え出された手法がモンテカルロ木探索だ。ある一手を打った後、後続の手はランダムな手を打って、終局まで行ったとする。終局時に勝っているか、負けているか、勝つ可能性の最も高い手を良い手と評価するという手法だ。

 つまり、コンピュータで未来に行って、その未来が最も望ましい手を選ぶということになる。

 それでは、なぜ、モンテカルロ木探索が囲碁に用いられて10年も経つのに、ここに来て急に超一流のプロに勝てるようになったのか。それは、今までコンピュータが行っていた未来が正しくなかった、つまり、あり得ない未来に行っていたからだ。コンピュータの処理能力の向上および処理方法が洗練された結果、正しい、すなわち、あり得そうな未来に行くことができるようになって、終局という一局の勝負においては究極の未来から見て、次の一手を選ぶことができるようになったわけだ。

 正しい未来に行くために用いられた手段が、機械学習(教師あり学習と強化学習)およびディープ・ラーニング、特に畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)ということになる。